白玉庵のいちにち

表千家茶道教室

熱波の街をゆっくり歩く。

 とにかく暑いのです。熱波の成増を誰もがゆっくりと歩いています。歩いている人を後ろから見ていても、身体から陽炎がたちのぼっているかのように見える。誰も走るひとはいない。ゆっくり、ゆっくり歩いている。夕方、外に出たけれど、これほどの事態だとは思いませんでした。
 書店に入って、外に出ると、たちまち熱を帯びた空気に全身が包囲される感じがしました。みんなこの夏をやりすごしている様子。あるお店で、レジに並んだ年配の男性が、端数の硬貨を店員さんに渡していました。お財布のなかの小銭は、これで整理できたのでしょう。お釣りの、大きなお金の方を店員さんから受け取った後、外に出ようとして店員さんに呼び止められました。「品物が残っていますよ」と。
 わたしは、この間、一部始終が見えてしまう場所にいました。その人がお財布から硬貨を探している間、何を考えるでもなく立っていました。一つに一生懸命になれば、一つが脱落する。特にこんなに暑くては、…。他人事とは思えません。