白玉庵のいちにち

表千家茶道教室

夏のお花 夏のお軸 夏の主菓子

ベランダに咲いてくれた木槿

「清風在竹林」(堀内宗匠墨蹟)

ベランダで咲いてくれた日日草 

七夕(川越 亀屋紋蔵製)



(お稽古日に活けました。かわいい日日草と、すくすく育ったタカノハススキ)

 

 このところ、続けてお稽古がありました。

 お花は、ベランダに咲いてくれた白い木槿、赤と白の日日草、タカノハススキがかろやかで、凜々しく、また、かわいらしくありがたかったです。

 お軸は「清風在竹林」(堀内宗匠墨蹟)。この「風」という文字で堀内宗匠の「風」を感じることができるようにおもいます。いろんな方の書かれる「風」がありますが、堀内宗匠の「風」からは、自在な「風」の姿を見せていただけるような気がします。

 

 「七夕」(川越 亀屋紋蔵製造)という主菓子は、三日間限定ということで、お稽古にみえる日がその日に当たることを確かめて、わざわざお持ちいただいたものです。「このお菓子をぜひ先生とご一緒にいただきたかったのです」と。ありがたさに、頭が下がるおもいがいたしました。そのお気持ちにまずは、感謝いたします。そして、その美しさ、美味しさにこころ奪われました。幸せなひとときをありがとうございました。

 

 この間のお稽古は、お二人に長緒。お二人に、続き薄茶をしていただきました。

 

 そして、手に入らなくなった抹茶には、この先、どうなるのかと心配になってしまいます。いつも使っていた抹茶は、まったく流通していない様子ですし、いつ入荷するのかもわからないという事態に。また、その金額も二倍になったとうかがいました。

 外国人の人たちに人気があるということでしたが、ただただ美味しい一服をいただきたいわたしたちとしては、異常な事態としかいいようがありません。

 

 

半夏生の気高さ

半夏生 コエビソウ

「無心」堀内宗匠墨蹟

長緒のお稽古

 夏至(今年は6月21日土曜日となりました)から数えて、11日目頃からの5日間は半夏生(はんげしょう)とよばれています。

 先輩のお庭に咲いていた半夏生の気高さには圧倒されるおもいがしました。このように葉っぱが真っ白になる半夏生は、なかなか見当たらないのだそうです。その一本を選んでお持ちいただきました。ありがとうございます。

 先輩たちお二人にはそれぞれ続き薄茶のお稽古をしていただきました。続き薄茶は、濃茶と薄茶が流れるようにできるようになれば、他の方たちにもぜひお稽古していただきたいですが、濃茶のお茶碗が戻ってきたところから、途端に頭のなかで組み立てなければいけないことが立ち現れてくるようで、内心、気持ちが気ぜわしくなってしまうお点前です。

 そこを何ごともなくすすめていくには、お点前自体が完全に身体に身についているかどうかが自ら問われるお点前でもあります。

 

 また、前回から長緒をはじめられた方には、今回も長緒のお稽古をしていただきました。

 そして、二回目なのに完全にできるようになっていたのには、感動すら覚えました。

「いまは一ヵ月に一度しかお稽古に来られないので、その分、たくさんがんばりたいと思います」

 この方の場合は、お子さんが小さいので、一ヵ月に一度、ご主人に預かってもらっての貴重なお稽古となります。真剣な姿勢にわたしも励まされます。ありがとうございます。

 

 あっという間に、六月も終わりに近づいてまいりました。

 5月26日(月)には、表千家の一般講習会が有楽町の東京国際フォーラムで行われました。

講習科目は、花所望、長緒、薄茶

今年三月に刊行された「惺齋」を購入しました。表千家十二代惺齋は幕末に生まれ、明治から大正、昭和の時代をお家元として活動されました。

また、『わびと数寄』視聴券も購入。

第一部から第四部にわたって約150分の映像資料です。

 

 

初風炉のいちにち。

二人静紫蘭

 

 四月の最後には、お許しをいただいた方の、この方にもはじめての長緒のお稽古をしていただきました。長い緒を小指にかけたり、仕覆のなかに緒をきちんとしまったり。できるようになるとちいさな感動がありますね。

そして、五月七日には、炉から風炉へと移った最初のお稽古をしました。先輩のお二人がお稽古にみえました。

お花はお庭に咲いていた二人静をお持ちいただいたもの。そこに加えたのは、ベランダに咲いてくれた紫蘭です。この紫蘭も以前、先輩からいただいたもの。以来、毎年、花を咲かせてくれます。二人静は、いまは亡くなられた先生のお庭からいただいたものだとうかがうと、お点前の手順だけではなく、たくさんの受け継がれてゆくお茶の心をおもいます。

主菓子は若鮎、中には求肥が入っています。お干菓子はサイコロ状の色とりどりのゼリーで、「宝石箱」という名前のついたものです。どちらも美味しくいただきました。

 

風炉に代わったはじめのお稽古ということもあり、運び点前でそれぞれ濃茶とお薄を点てていただきました。

広間(四畳半以上)のお運びの薄茶では、運び出しのときと位置を変えて置き合わせます。中仕舞いといわれるこの置き合わせは、広間の薄茶点前のときのみ。

その意義について堀内宗匠は「点前の仕舞いは、原則として道具を持ち出した最初の形に戻すのが建て前であります。しかし、実際の茶の湯のとき、両器を水指しの前でなく、畳の中央で仕舞うのが一つの風情として考えられたのが中仕舞いであると考えられます。ここに茶の湯の自由さというものがあります。」と書かれています。(『お茶のおけいこ4 風炉の点前』より)

暖房も冷房もいらない、爽やかな初風炉のお稽古をたのしみました。

若鮎(京都・仙太郎)

宝石箱(ゼリーのお干菓子 仙太郎)

 

旅箪笥の三通りのお点前、そして平棗について。

平棗を使っての薄茶点前をしました。

かなり久しぶりの平棗でしたが、先輩のお二人は、すぐに思い出されたご様子。

その自然な流れが長く続けてこられてきたことを言葉ではなく物語っていました。

 

お茶は、一文字にはきます。

この日のお棚は旅箪笥。

濃茶点前のあと、薄茶点前では、芝点をしていただきましたが、

他にふたとおりの点前があります。

一つは、水指しを引き出す仕方(濃茶のときはこの仕方に準じます)

一つは、中棚を上の板と重ねる仕方

というふうに、全部で三通りのお点前があります。

 

みなさん芝点のお点前を選ばれるようですが、あとのふた通りの仕方も忘れないためには時々は、お稽古したいと思いました。

また、二飾りのときの仕方についても、堀内宗匠による「茶道講座」(五十四)に詳しく書かれていることを知りました。

日を改めて、ここにご紹介できればと思います。

平棗にしても、旅箪笥の薄茶三通りのお点前にしても、身につくまでは何度も繰り返していただこうと思います。

昭和三十七年三月号 茶道講座(五十四)旅箪笥の芝点

はじめての「長緒」お稽古。

長緒

 昨日は、習事八箇条のなかの「長緒」のお稽古をしていただきました。

 はじめてのお稽古となります。

 それに加えて、一年にこの時期しか出さない「旅箪笥」を使いました。

 長緒の解き方をしらないとお点前に進めないので、まず、長緒の結び方と解き方のお稽古から始めました。

 まるで手品みたいですね、と感心されながらわたしの手元を確認されたあとは、ご自分でも挑戦。

 集中して繰り返され、長い緒もきれいに仕覆のなかにおさまるようになりました。

 できることが一つひとつ増えていくことは、たのしいですね。

 旅箪笥のお稽古も、濃茶と薄茶を点てていただきました。

 一時から4時くらいまでの一対一のお稽古です。

 そして、お自服でのお茶を美味しそうにいただかれる様子は、いつ拝見しても、微笑ましいです。

 

*水指しは、もう少し手前に出しておくとよかったと思います。

水次のときは、畳の上に出します。

主菓子 柏餅

一昨日、主菓子を買いに駅まで出かけたら、あるはずの和菓子屋さんの姿が跡形もなく消えていました。

数年前には別の和菓子屋さんが撤退してしまい、今回も、、、。

がっくりしましたが、成城石井製の柏餅を買って帰ってきました、、、。

美味しくいただきました。餡はこしあん

 

お干菓子は、長野風月堂の杏の実。写真はありませんが、美味しゅうございました。

お軸は「萬山春装」(堀内宗匠墨蹟)。花は小手毬と木苺

 

春の装い

緑水青山(前大徳寺 誠堂叟墨蹟)

お花は、サンシュユ沈丁花

沈丁花は、香りがあるので、茶花としては不向きかもしれませんが、一枝なら、と思われて、サンシュユと一緒にお持ちくださったのだと思います。

どちらも、先輩茶人のお庭に咲いていたお花です。

そして、お軸は「緑水青山」(前大徳寺 誠堂叟墨蹟)。

「青山緑水」と書かれていることもあります。

季節を少しだけ先取りした感がありますが、まもなく、新緑の季節になりますね。

野山に風がわたり、小川の水がきらきらと輝いている季節。

現実にその場所に行かなくても、魂の深い部分と共鳴しあえる禅語を味わう時間を大切にしたいと思います。

江岑棚(三木町棚)

先輩茶人お二人には、続き薄茶のお稽古をしていただきました。

続き薄茶は、濃茶と薄茶の基本のお点前ができるようになれば、相伝のお許し状がなくても、どなたでもお稽古ができるお点前です(茶筅飾りなど、相伝もののお点前のあとにつづいての、続き薄茶というのはありません)。

お茶入れと棗の入れ替えなど、長くお稽古をされている方でも、少し緊張するお点前でもあります。

 

お棚は、四代家元江岑棚。三木町棚ともいいます。

この日は、棗ではなく吹雪を使いました。

引き出しは、三分の二まで開けて、その中央に、仕覆や棗を入れます。

 

琥珀糖(出雲 津山屋製造)

主菓子は、椿餅。

お干菓子は、琥珀糖。

どちらも美味しくいただきました。

 

小さなお子さんのお母さんもお稽古にみえています。

一ヵ月に一度という貴重なお稽古日には、濃茶と薄茶のお点前をしていただきます。

予習復習をしっかりされているということで、月に一度のお稽古であっても、お点前が確実に身についていかれていることがわかります。

 

 

加茂本阿弥の清々しさ

 

 

ベランダに咲いてくれた椿(加茂本阿弥)

二月末のお稽古では、加茂本阿弥がお稽古の朝に間に合ってくれました。

開くまでは白玉とよく似ている椿ですが、ここから先が白玉とは別の、華やかな姿を見せていきます。ただ、その姿はお茶室では見かけることがありません。

あまり開きすぎると、お茶室ではお茶室の空気との調和を保つことが難しいのかもしれません。

主菓子は、京都の甘春堂の椿餅をいただきました。

お干菓子は、金沢の諸江屋。

和三盆製の加賀らくがんの「わび」。季節の花をあらわして、美味しく美しい。

この日のお稽古は、お二人に、長板の濃茶とお薄を点てていただきました。

お一人には、お点前のお稽古はされませんでしたが、お菓子とお茶を召し上がっていただきました。

その日、その時、それぞれの方にふさわしい、お茶の楽しみ方があると思っています。

 

椿餅(京都 甘春堂)

落雁 (金沢 諸江屋)