白玉庵のいちにち

表千家茶道教室

隣のマンションの人と話をしました。

 寒かった本日、ふたりでバスを待っていました。
といっても、相手はお名前も知らない年配の女性です。
「なかなか来ませんね」と彼女のほうから声をかけてこられました。「いつもは時間どおりに来ますね」とわたし。
「こんな寒い日に限って」などと言っていて、ふと時刻表を見ると、ふたりとも休日の時間を見て待っていたのでした。
 ここまで待ったのですからもう少し待ちましょう、と言いながら、なおも待っているうちに、世間話に。
 彼女はわたしたちのマンションの隣のマンションの人でした。建った当初から入居されていてすでに30数年経つのだそうです。
 7〜8年後?にわたしたちのマンションが建ちましたが、それまでは、タンポポの花が咲いたりして、いいところだったそうです。
それで、わたしたちのマンションが建つときに反対運動があったのだとか。全く知りませんでした。
時を経て、その時40代だった彼女も「おばあさんになってしまったわ(笑い)」と言いました。4年前にご主人を亡くされたのだそうです。入居時、高校生だった娘さんもいまは名古屋のほうで仕事をなさっていて、現在はお一人でお住まいなのだそうです。
 そそっかしい者どおし、話がはずんだのでした。「ずっと間違えて待っていたなんて、私だけでなくて、相棒がいてくれてよかった」と彼女が言いました。「ほんとうですね」とわたし。
バスに乗ってもわたしの前に座られた彼女は話してくれました。ずっとローンを払いつづけて停年になっても払っていたこと。大変でしたよ、ということ。それなのに、マンションの資産価値が下がって、どこにも引っ越しできないこと。「ここで死んでいくのでしょうね」とおっしゃいました。
初めて会ったのに、意気投合。バスを降りてから「また、バス停でお会いすることもあるかもしれませんね」とわたし。「そのときは、お声をかけてくださいね。眼が悪いから気づかないかもしれないから」と彼女。なんだか、遊びに行きたいような雰囲気の方でしたが、その言葉は初対面ですから、さすがに口にしませんでした。また、お会いしたいな、と思いました。