白玉庵のいちにち

表千家茶道教室

三月になれば…。

 袴の着付けの特訓を何度か受けて、いよいよ三月の卒業式シーズンを迎えます。
 「始発で行くんですよ。あなたのところからだと大丈夫かしら」
 これまで何度か、先輩の人たちから言われていたのですが、そのときにならないとよくわからないわたしは、「大変ですよね」という他人事みたいな応え方をしていたのでした。
 ところがスケジュール表をいただいて、いきなり「始発」の意味に直面せざるを得なくなりました。
 たとえば電車の始発というのをいままで意識したことがありませんでした。
 東武東上線成増駅の場合、4時50分ということが判明。有楽町線地下鉄成増駅だと4時42分ということが判明。
 しかし、バスはその時間動いていません。すると、タクシーでしょうか。タクシーもそんなに走っているとは思えません。しかも、毎回、タクシーを利用するとすれば、なんのために着付けの仕事をするのかわからないように思います(着付けの仕事は、ライターの仕事とちがうように思います。ライターの仕事のときは、時給計算など考えたこともないし、時給計算ができる種類の仕事ではないし、取材当日は気持ちが取材一本になっていて何も考えられないままタクシーに乗り込みます。極端なことをいえば、取材がうまくいきさえすれば、原稿料などどうだっていい!という気持ちにすらなることだってあるのです。ばくち打ちみたいなやくざな気分と言ってもいいかもしれません。うまくできるかどうかは、運を天に任せるようなところがあるので、取材が終わったあとは、抜け殻状態になるときも多々あります)。

 
それはさておき、ここにきて始発の問題が他人事ではなくなってきました。
 ああ、このことを心配してくれていたんだ、といまごろ納得する始末です。
 ここに救世主のように浮上してきたのが、「都営三田線」でした。
 わたしはほとんどこの路線を使わないのですが(というより、この路線を使う場合は駅まで歩くしかないのです。私の足では15分くらいかかります。奥の手のタクシーを使っても、歩道橋の下から結局は歩かなければいけないので、あまりうれしくないのです)、しかしながら、スケジュール表に記されている行き先を調べれば調べるほど、この路線は今回の着付けのためにあった路線なのだと気がつきます。駅までの風景が好きになれないなどと、いまや好き嫌いを言っている場合ではなくなりました。背に腹は代えられない。大げさですが、そんな感じです。
 始発は西高島平を5時10分。それでも集合が5時30分という場所には遅刻することになりますが、ほかは、なんとか間に合うということがわかりました。
 5時10分の電車に間に合うためには、4時50分には家を出なければいけません。
 ここから先は、いまはまだ他人事ですが、そのときになったらその大変さをたちまち実感するはめに陥るのでしょう。

 
 それと同時に三月になると、取材仕事が始まります。
 睡眠不足で目の下にクマを作らないかと、いまから少し心配。