白玉庵のいちにち

表千家茶道教室

睡眠時間2時間で講習会に出席すると…。

 昨日のことです。どうしても仕上げなければならない原稿を書きあげて、睡眠時間が2時間のまま家を出ることになりました。
 しかも、着物を着て…。
 お茶の講習会があったのでした。
 どうしても仕上げなければならない原稿と、どうしても出席しなければならない講習会と。
 講習会の開始時間10分前に会場に到着したわたしが一番近くの扉から入ろうとすると、案内係の人に声をかけられました。
「向こうの3番か4番扉からお入りになられるとお席がまだあると思います」
「そこは一番後ろの席は空いていますか?」
 どうしてそんなことを聞くのかと、案内係の人は少し首をかしげたあと、きっぱりと言いました。
「いいえ、一番前のほうです」
 わたしは、一番後ろの席に座ろうと決めてやってきたのですが、甘かった。よりによって、一番前のほうとは…。
 仕方がないので、3番の扉から入ってみました。
 すでに満席状態。ものすごい人数の着物姿の背中が見えます。わたしはひたすら前に向かって歩きました。
 一列目、二列目、三列目までの席に空きが見つかりました。わたしは、三列目に着席。
 ほんとうに、困りました。睡眠時間2時間で、きっと起きてはいられないと思ったからです。必ず、眠くなるはずです。
 後ろには、ものすごい人数の目があります。こんな前の席で眠っていては、目立つにちがいありません。みんなから、ひんしゅくを買うでしょうね。
 ほんとうに、困りました。
 それでも、3時間くらいは必死で我慢したように思います。残りの1時間。わたしは、休憩時間(トイレ時間)によっぽど席を外して、帰ろうと思いました。
しかし、最初のトイレ休憩のとき、すでに先生から声をかけられていました。先生は、早くお見えになったのでしょう。真ん中くらいのお席にお嫁さんとご一緒でした。「○○さん」と名前を呼ぶ声がしたので、そちらを向いたらマスク姿の先生がいました。「お手洗いね」と言われて、うなずいたわたし。
 戻ってきたときにも、わざわざ前から三列目の席から後ろを振り仰いで、先生にご挨拶をしたのでした。よく考えると、「ここにいます」とお知らせしたようなものでした。
 もし、ここにいるはずのわたしが、途中で消えていたら…。そう考えると、我慢して坐っているしかないと思い、最後まで坐っていたわたしです。
 しかし、もう、眠くて眠くて、注意をして見ている人がいたら、きっと、睡魔と戦っているわたしに気がついたことでしょう(先生にも気がつかれたかもしれません………)。
 
 お稽古日はちがうけれど、先方もわたしも顔だけは知っている社中の人もきっと何人かはいるはずです。睡眠時間が2時間のときは、やっぱり、風邪をひいたとかなんとか言って、お休みすべきだったのか。しかし、わたしはそうはしませんでした。無理矢理来てしまったという感じ。
 ただ、もう、お話が終わったあとは、一刻も早く帰りたい気持ちで、逃げるように会場を後にしたのでした。
 といっても、前から三列目。後ろの席から順番にお帰りくださいとアナウンスがあり、ゆっくりと、そのあと、逃げるように会場を後にしたのでした。