ただただ雲龍柳に極楽鳥(花)の組み合わせが素晴らしい(以下、(花)を省きます)。
「雲龍柳と何を合わせるのかと思ったら、奥のほうから極楽鳥を持ってきてくれたのよ。こんなに合うなんて思わなかったわ」とお嬢さん。
「こちらから注文をつけるより、お花はお花やさんにおまかせするのがいいのよ」と先生。
極楽鳥という名前はぴったり。極楽浄土を飛んでいる鳥のよう。
ところで、先生はご存じでしょうか。
「今度、池袋の三越が閉店するようですね」
「え、そうなんですか?」
先生はその昔、池袋三越がオープンした当時にお花を活けられたのだそうです。当時の素材のなかで忘れられないのが葉蘭。
「まるで鶴が舞っているように活けることができました」
懐かしそうにおっしゃる。
「三越のあたりは終戦後、闇市が立っていたのよ。みんな食べ物がないから、そこで焼きそばを食べたりしていたわね」
三越閉店後に、建つものは何?
あののんびりした雰囲気はかけがえがないだけに、残念。